インディーズ音楽レーベル Voltage of Imagination のブログ跡地です(2008/12/26 移転しました)


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パトス・ハメ No.0001 : バックナンバーその2

冨田明宏 責任編集メールマガジン 『パトス・ハメ』
No.0001-2 / 2008年12月23日 発行



INDEX
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1. anNina 新作 natal を語るインタビュー(前編) text: 冨田明宏
2. anNina - natal 完成に寄せて text: 冨田明宏
3. 今号のパトス盤 - PICK UP DISC! - text: 冨田明宏
4. 犬が読むコラム - 責任編集後記的な何か - text: 冨田明宏
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3. 今号のパトス盤 - PICK UP DISC! text:冨田明宏
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責任編集なんだから、どんな音盤を紹介しようが文句は出まい!
ということで、冨田の独断と偏見のみでピックアップしたオススメ作品をご用
意しました。アナタの琴線に触れる出会いがあればと、心から願っています。
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■ 熱帯雨林を別け入るような、シャーマニックなエレクトロニカ・サウンド

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High Places / High Places

発売日 : 2008年09月23日
型番 : 70207
発売元 : Thrill Jockey
販売元 : Thrill Jockey



日本で大麻とかやるヤツはマジな話、アホである。「タバコより害が少ない」とか、「依存性が低い」とかそんなもの関係ない。オランダで OK、日本で NG、ということはつまり、法律の問題のみなのだ。綺麗ごとなんか一切関係なく、一服でも吸えば法的にアウト。人生オワタ\(^o^)/

親は、法を犯しパクられた息子のバカさ加減に泣くことになるのである。そんなリスキーな思いしてまで危ないモノに手を出すくらいなら、どうぞこの High Places を爆音で聴いて下さい。

N.Y はブルックリンで結成された、男女2人によるトライバルなエレクトロニカ・ユニットのご紹介です。ちなみに、彼らもドラッグの類は一切やりません(本人たちにインタビューで確認しました)。

この壮大で神秘的なトリップ感はどうだ。彼らは一体、何から着想を得ているのでしょう。正解は、世界各国の雄大な自然!まず彼らは、N.Y の日常に溢れるノイズをサンプリングし、それを重ね合わせて楽曲を組み上げる。そしてツアーや旅行先で触れた様々な国の海や森などの自然からインスピレーションを受けサウンド化、楽曲に落とし込んでいくという。

昔からヴィジョン・クエストといって、誰もいない森のど真ん中で1週間瞑想するとドラッグの100倍くらいトリップできる、とかいう奇跡体験を味わう怪しいプロジェクトがあるけど、High Places の生み出す音楽にとっても大自然は、癒しであると同時に超自然的なインスピレーションを得る刺激的な場所としても機能しているのだ。

まるで鳥の声が木霊する熱帯雨林を別け入っていくような、シャーマニックでパーカッシヴなサウンド。メアリーの歌声もささくれた心に癒しを与えてくれるような、潤いのある響きがある。現在は輸入盤しか手に入らないが、来年早々に旧作とセットになった 2 in 1仕様で国内盤がリリースされる予定。

販売はエイベックスと坂本龍一が発足したプロジェクト〈commons〉から。待てる人は、ソッチを待った方がいいかも?

 それまでは、こちらの myspace でお楽しみ下さい。
 http://www.myspace.com/hellohighplaces



■ タイトルはけしからんけど、音楽は一級品

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知と性、毛布とセックス / まきちゃんぐ

発売日 : 2008/12/03
型番 : VPCC-81614
価格 : 2,500円(税込)
発売元 : バップ
販売元 : バップ



1曲目の「9cmのプライド」からジャジーなピアノと情熱的な節回し全開なので、てっきりそっち方面出身の人かと思っていたら、全然違った。高校生時代は普通にギャルたちでバンドをやっていたそうです。岡山県出身で、現在21歳。その妙な名前とか、けしからんアルバム・タイトルに翻弄されてしまうけど、この作品の要素すべてが彼女から現れたモノであるのなら、正真正銘の天才だと思う。

そのけしからんタイトルも含め言語感覚が痛いくらいに生々しくて、女性性の脆さ、儚さ、恋愛に救いを求めるどうしようもなさ、その他諸々の情念めいた感情が剥き出しの言葉で吐き出されていく。全11曲すべて、切実なメッセージの洪水である。

ちなみに、「9cmのプライド」とはピンヒールのことらしい。男には一生分からない、痛みを伴う女のプライド。それをたった 8 文字で表現してしまった。アニメ『秘密(トップシークレット)- The Revelation -」』のEDテーマだった「煙」で彼女を認知した人もいるだろうけど、やはり映画『青い鳥』のメインテーマに選ばれた「鋼の心」を、無意識的に耳にした人が多いのかもしれない。

いい歳して恥ずかしいけど、この曲はものすごく泣けた。このアルバムを聴いている最中、ずっと思い浮かんでいるのは、泣いている女性の姿だ。その昔、浅川マキの楽曲をそう形容した人がいたけれど、もっと現代的な匂いや感性で描いたら、こうなるのではないだろうか。ちなみに、本人は超が付く恥ずかしがり屋で、アイロニックな視点を決して忘れないパンクな才女です。もっと評価されるべき才能だ。



■ 耳に心地よい、静謐なエレクトロニック・ミュージック

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a day, phases / agraph

発売日 : 2008年12月3日
型番 : KSCL1330
価格 : 2,520円(税込)
発売元 : キューンレコード
販売元 : ソニーミュージックディストリビューション



石野卓球、電気グルーヴ、RYUKYUDISKO、DISCO TWINS の制作助手や、ライブでのサポートという形で、日本のクラブ・ミュージック・シーンの最前線で丁稚していた牛尾憲輔こと agraph。まさに満を持して、本作でソロ・デビューしましたー! ワーイ!って喜んでるの俺だけじゃないか超恥ずかしい。

しかし素晴らしいぞこのアルバム。恐ろしく繊細なサウンドの律動、計算されたビートの美しい連なり。しかしダブの素養があるのか、ベースラインもガッツリとヘヴィだ。音がこれだけ敷き詰められているのに、「静謐」であると感じてしまうこの矛盾は一体何だろうか。

どこかメランコリックなメロディセンスも含めて、サウンドと実にバランスよく溶け合っている。まるで空が紫色に染まる、朝焼けを幻視しているようではないか。ってそれ、アルバムのジャケット・イメージまんまやないかーい。

とはいえ、本当にさまざまな映像をイメージさせてくれるチル・アウト・ミュージックだ。こういうアーティストが出てくる日本のテクノ・シーンには、まだまだ未来がある。レイヴのリバイバルだー!といって一気に頭が温まってしまった UK は今その寄り戻しにあっているけれども、今世界に打って出れば名を馳せる存在になるのではないか? 素晴らしい才能です。



■ 詩情豊かな傑作トイトロニカ作品

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little miss Alice / 深水チエ

発売日 : 2008年10月13日
価格 : 通販/500円(税込), 委託/735円(税込)
発売元 : RUN GIRLS RUN (個人サークル)
site : http://www17.ocn.ne.jp/~rungirls/


こういう出会いがあるから油断がならないのだ、M3は。本作との出会いは偶然ではあったが、生涯の友と出会ったかのような、それほどの衝撃と、不思議な包容力に包まれる感動を味合わせて頂いた。

深水チエについて、僕はほとんど知らない。ただ、彼女のはじめてのセルフ・プロデュース・ミニアルバムである本作には、2000年代初期のジム・オルーク、フェネスあたりが志向していた暖かく柔らかで、有機的な音響とメランコリックなメロディセンスが漲っている。

つまりは、限りなく近いシンパシーを感じるだけの音楽的なアンテナの持ち主であると、勝手に感得してしまった。それくらいに、描く音に明確で説得力のあるヴィジョンが見えたのだ。アンビエント、トイトロニカ、フォークトロニカ、アシッド・フォーク、クリック・テクノ~グリッチ・ノイズの素養も垣間見せながら、ふくよかに歌心を膨らませ、空気感タップリにセンチメンタルな詩情を歌い上げる。

また、その歌声もいい。たとえば新居昭乃の、隔世的で豊潤な表現力に近接する魅力も見いだせるが、ふと声を詰まらせるように切迫した表情が現れる。そのある種ダークな側面が、この愛らしい楽曲たちに程よいアクセントを与えている。

これがもしフルアルバムのボリュームで実現されていたのであるなら、たぶん筆者は、音楽雑誌から依頼されていた「年間ベスト・アルバム」選出に、同人であろうがねじ込んでいたはずである。今後の活躍に期待したい。



4. 犬が読むコラム - 責任編集後記的な何か - text:冨田明宏
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某着うた配信会社の大手が、汐留にある超高級ホテルの会場貸し切ってパーティーを催したのだが、ご招待頂いたのでノコノコと、柄にもなくスーツ(!)なんか着こんで珍入してきました。仕方ないじゃない、〈フォーマルな装いで〉っていうだもの。年に1回か2回ですよ、俺がスーツなんか着るの。「スーツ着ないで良いから音楽屋になった」みたいな、どっちかというとダメサイドの人間ですから。インタビューやミーティングに俺がスーツなんか着て行ったら「葬式でもあったんですか?」と、逆に心配されちゃうような仕事なんですよ、音楽ライターって。すげえ、ダメ過ぎる。

代々木に事務所を借りてるんだけど、実際は自宅に籠って仕事していることの方が多い。そんときなんて、ほぼ半裸でパソコンのキーをぶっ叩きまくっているのが日常茶飯事ですから。どっかの奇祭かと。そこまで体を覆う布が嫌いなのかと。改めて奇異な職種ですね、ライターって。ああ、話が大きく反れちゃった。

で、そのパーティーで【2008年着うたランキング】を発表していたんだけどそれがいわゆるオリコンのチャートとはかなり違うものになっていて、凄く興味深かった。というかむしろ、こっちの方がかなりリアルなチャートだと思う。ここでそのランキングをアップしちゃうのはいろいろとヤバそうなので控えますが、もしあのランキングが、若年層のインパルスが反映されたリアルなものだと仮定した場合、正直な話、俺の趣味嗜好とはかなりのズレがある!

解りきってはいたことですが。そんな俺が責任編集で『パトス・ハメ』は大丈夫なのだろうかと、ローストビーフを赤ワインで飲み下し、神妙な面持ちで考えたのだった。あれは実に美味い肉だった。

まあでも。開き直るようで大変恐縮ですが、売れている、もしくは物凄い数ダウンロードされている音楽は、何もしなくたって出会えるでしょう。普段耳にする音楽のほとんどは、テレビかネットか街角で、無意識的にキャッチしているものばかり。つまりは受け身の音楽聴取です。

『パトス・ハメ』は、能動的に音楽を聴取したいと思った人に向けたメルマガだと思う。まず、メルマガに登録してくれている時点で能動的だ。つまり、普段生活していたら出会えないような音楽と、出会いたいと思った人が読むメルマガ。そこに限定するつもりはないけど、大きくは間違っていない気がする。好きとか嫌いとか、そういった相性は別にして、紹介する音楽が素晴らしい音楽であることは責任編集という立場で保証します。

という感じで、『パトス・ハメ』がヌルリとスタートいたしました。第一号、いかがだったでしょうか?感想や要望など、送って頂いたメールにはすべて目を通します。そして可能な限りご返信したいと考えております。

次号は anNina のインタビュー後編をお届けいたします!ちなみに、隔週ペースでお送りしたいと考えておりますので、なにとぞよろしくお願い致します。


それでは今後とも、末永く御贔屓に。


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音楽ライター冨田明宏
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by ancient-colors | 2008-12-23 18:17 | パトス・ハメ